今回は、「科学的に正しい勉強法」を、お伝えします。特に、「忙しくてインプットの時間がない!」という方に知って欲しくて書きました!
この記事の結論を一言でいうと、
「“思い出すこと”をインプットにもっと活用して、効率的に知識を身に着けよう!」ということです。
思い出すこと?それだけ?と思ってしまうところですが、これこそ私たちの脳に備わった記憶のメカニズムに適した学習法なんです。
思い出すことを具体的にはどうやって学習にとりいれるか?他にも、やりがちな非効率な勉強法なんかも取り上げていきますので、勉強法をアップデートしていきましょう!
この記事の要点としては以下のとおりです。
①脳は「思い出す」ことの繰り返しでその情報を長期記憶化する。
②「思い出す」効果を最大化するためには「忘れた頃に」が良い。
③最高の勉強法は「覚えたことを白紙に書き出す」こと
これらの内容について掘り下げていきましょう。
具体的な方法を知りたい方は[具体的勉強法]から読んでください!
そしてぜひ「なぜそうなるのか」も併せて後から読んでいただくと、効果が高まるかと思います。
「思い出すこと」それが記憶の定着につながる!
効果の高い勉強法、低い勉強法
さまざまな学習方法の有用性について、膨大な過去の研究を調べてまとめたケント州立大学心理学部のダンロスキー教授らによる有名な報告書があります。
報告書で想起練習は「科学的根拠に基づき高い有用性があると評価する」とされており、科学界の実証済みです。
ちなみに、やりがちな勉強法で有用性が低いと評価されたものもいくつかありました。「再読」「アンダーラインを引く」「ノートに書き写す」などです。
これらは受け身(パッシブ)な勉強法で脳に負荷をかけずに出来るので記憶の定着につながりにくく、そのうえ、やった気になったり、「見覚えがあるから理解できてる」という錯覚に陥るため注意が必要です。
記憶と忘却のメカニズム
記憶のメカニズム
想起の効果を腹落ちさせるために、記憶と忘却のメカニズムについて簡単に触れていきます。読み飛ばしても構いません(笑)
ここでは、
- 3種類の記憶
- どうすれば長期記憶に残せるか?
- そもそも何のために記憶するか?
について簡単に説明します。
まず、何気なく使っている「記憶」とはどのように行われているのでしょうか?
一般的に言われる「記憶」とは長期記憶のことで、あなたが知覚した情報を、脳の海馬によって処理され、固定化されることです。
記憶には3つの種類があります。
- 「感覚記憶」→外部からの刺激により1~2秒保持される
- 「短期記憶」→数十秒~数十分保持される
- 「長期記憶」→ほぼずっと保持される
そして、移行する際にはトリガーが必要になります。
まず、感覚記憶から短期記憶に至るトリガーは「注意を向ける」こと。感覚を知覚しても、あなたが注意を払わなければ記憶には残りません。同じ経験をしていても、人によって覚えている内容が違うのはこれが原因です。
そして、短期記憶から長期記憶に変換されるためには、断片的な情報をつなぎ合わせる「記名(符号化)」というプロセスによって長期化されなければなりません。長期化された記憶は検索し、引き出すことで思い出すことができます。
そして、記憶は思い出せないと意味がないので、適切なタイミングで任意の記憶を引き出せることが重要です。この「思い出すこと」は脳に「この情報は生存にとって重要な情報なんだ!」と認識させ、記憶の回路が強化されるのです。
込み入った話になりましたが、ここで大事なのは、「記憶には3つの段階があり、情報を何度も使って回路の強化をすることが長期記憶の定着に有効。」ということを覚えておいてください!
人は何もしないと1/4しか覚えてない!
もう一つ大事な機能に「忘れる」ことがあります。
あまり意識されることはありませんが、忘れることはとても重要で、忘れることができない障害を負った人は、つらい経験に障害苦しめられたり、情報に優先順位をつけられなくなるなど、日々の生活に支障をきたします。
忘却は人間に生まれつき備わっている初期設定で、重要なことと些末なことを仕分けすることで記憶力の向上を助ける役割があるのです。
では、覚えたいことを覚え、そうでないことは上手に忘れるためにはどうすればよいのでしょうか?
時間と忘却の関係を表した図として、「エビングハウスの忘却曲線」というものがあります。
エビングハウスが行った実験によると、最初のうちは記憶の忘却は迅速に進み、時間の経過とともに記憶の保持率は減少し、25%で横ばいとなるといいます。
一度記憶した情報も何もしないと1/4は忘れるか、あやふやなものになってしまうんですね!
この忘却曲線から考えれば「その日のうちの復習」も効果が低いという結果が出たこともうなずけます。
この忘却曲線は「何もしないとこうなる」というものです。何をすれば抗えるのかを見ていきましょう!
科学的にベストな学習法は想起練習!そのやり方は?
想起すると脳で起きること
思い出すこと(想起)は非常にアクティブな学習の要素なんです!
想起とは、すなわち過去の情報を呼び起こす作業です。
これは極めて実践的な練習法です。なぜなら、必要な時に適切な情報を呼び起こすことが「物事を覚えている」状態です。
そして、想起をすると脳は、記憶の回路の強化します。
「思い出す=使う頻度の高くて重要な情報」だと脳が捉え、長期記憶に定着していくのです。
いつでも、だれでも、どこでも出来る!
想起練習の有効性は使い勝手の良さにもあります。
どんな学習対象にも、学習者の年齢問わずこうかが認められているからです。
さらには他の学習法と比べ、特に時間がかかるわけでもなく最小限の訓練で実施できる点からも高い有用性があります。
ポイント①「いつやるか」
想起練習の効果を高めるタイミングはズバリ、「忘れた頃」です。
エビングハウスの忘却曲線でいえばこのタイミングです。
このように、忘れたころに想起すれば、長期間記憶が保持されることになります。
一夜漬けで覚えた内容が、テスト後にはさっぱり忘れていた。なんてことにはならなくて済むわけです。
そして復習もその日のうちよりは、あらかじめスケジュールに組み込んで計画的に出来るとよいですね!
ポイント②「どのようにやるか」
まず原則として、想起が困難であるほど、脳は記憶を引き出すのに苦労します。これが記憶の定着に程よい刺激となります。
ではどうするかというと、記憶のとっかかりがない状態で想起を行うのが理想です。
手掛かりのない状況で行う想起練習は適度に脳へ負荷をかけ、記憶の強化につながります。脳みそに汗をかかせましょう!
[具体的勉強法①] 「白紙に思い出しながら書く」方法
こちらは想起練習、好ましい困難を応用した手軽にできる方法です。
やり方は、例えば読書の内容を覚えたい場合、
- 時間を決めて本を読む
- 時間が来たら本を閉じ、内容を思い出しながら10分間白紙に書いていく
- 本を再び開き、思い出せなかった内容を別の色で書き足していく
これだけです。
何が思い出せ、思い出すなかった内容のうち重要なものはどれかを考えることで、記憶の漏れに気が付き、「こんなのあったなぁ」という感情も、記憶の定着に役立ちます。
さらに、1章あるいは1見出し読むごとに目を瞑る時間を短くとることで、情報をシャットダウンされ覚えやすくなりますので試してみてください。
[具体的勉強法②] 次に思い出す予定をカレンダーに組み込む
これは一度覚えたことを復習しましょうってことなんですが、確実にするために、スケジュールに加えましょう!コツとしては、覚えやすいタイミングを決めてしまうのもありです!「1日の終わり・1週間後・1か月後」みたいな感じですね。
思い出すことを忘れないために、「“科学的に正しい勉強法”を復習する」という予定をカレンダーに入れましょう。
その際には短時間でも復習できるものを、学習の過程で作成することをお勧めします。
そこで、テスト・クイズ化を紹介します。
[具体的勉強法③]クイズ化して隙間時間に「小テスト」をする
こちらは隙間時間の学習にピッタリのテクニックです。
やり方は、
- 覚えたい個所をクイズに変換する
- そのテストをいつでもできる状態にしておく
です。
例えば、アプリにクイズを登録しておく、というのもおススメです。「分散学習」でアプリを検索すると出てきます。
マインドマップアプリでも、ブランチの先を非表示にすれば簡単にテストをすることができます。
ノートを使っているならば、答えを書いて折り、そこに問題を書いておくのもいいでしょう。
自分がやりやすいやり方を考案するのも、自分用にカスタマイズできて効果が上がりそうです!
「空いてる時間があったらテストをする」ことを習慣化できれば、ベストですね。
終わりに
今回は「科学的に正しい勉強法」を忙しい人向けの内容でお伝えてしていきました!
個人的には、この想起練習はかなり勉強観が変わった内容なので、ぜひ皆さんも日常的に取り入れて、じわじわ高まる効果を実感していただければと思います!
今回の学習法は、一見すると遠回りに感じる方もいるかもしれませんが、定説となっている方法なので、愚直にトライしてみてください!
次回も「科学的に正しい勉強法」について他の要素をピックアップしてお伝えしますので、ぜひチェックしていただきたいです!
それでは、良い一日を!!